感染症

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は犬と猫にうつるのか? まとめ

新型コロナウイルス 犬猫
飼主さん
飼主さん
ニュースで犬猫が新型コロナウイルスに感染したと聞いたけど・・・本当ですか?
飼主さん
飼主さん
犬のコロナワクチンを打ちたいだけど・・・効果ある?

動物病院でよく相談を受けるようになりました。

メディアで動物の感染事例について取り上げられたことが影響しているようです。

ただし、『香港で2頭の犬が感染した』『ベルギーで飼い猫が感染した』などの報告に関しても、そのキャッチーな情報だけが先行して、その後の調査などはメディアではあまり取り上げられていないのが現状です。

ヒトの感染が急激に増えているのに対して、犬猫の感染を疑う事例が数件だけという事を考えると、飼い主さんが新型コロナに感染していない限りは、ご自身の飼い犬、飼い猫の感染を過剰に心配する必要はないと思います。

そして以下の基本的な考え方を頭に入れておいて、様々な情報で混乱しないようにすることが大切だと思います。

  1. コロナウイルスは〝種特異性〟が高く、種の壁を超えて他の動物に感染することはほとんどないとされています。

    👉犬猫にはそれぞれ病気を引き起こす別のコロナウイルスがいます。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは関係がありません。

    👉日本では犬のコロナウイルス性腸炎のワクチンがありますが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を予防できるものではありません。

  2. 動物間、犬猫からヒトへの感染を示すデータはありません。

    👉感染者がいる汚染環境内では、〝ドアノブ〟や〝手すり〟などと同様に、犬猫に付着したウイルスが最大数日間生き延びる可能性があります。

この記事は2020年4月22日時点での情報をまとめて作成しています。
新しく得られた情報により、内容を更新する場合がありますので、あらかじめご了承下さい。

新型コロナウイルスの蔓延が始まった当初、これまでの獣医界の常識から『ヒトから犬猫への感染の可能性は極めて低い』と考えられていました。

しかし、香港での感染を疑う犬の追加調査の結果、『ヒトから犬へ低レベルの感染がおきた可能性が高い』と判断されました。

たった1〜2ヶ月の間にも、新型コロナに関する情報は一気に変わるので、その情報が〝いつ発表された情報なのか?〟〝情報元は確かか?〟に注意してください。

犬のコロナウイルス感染症

犬のコロナウイルス性腸炎は犬コロナウイルス(CCV)によって起こるウイルス性の感染症です。

コロナウイルスはコロナウイルス科に属しています。
コロナウイルスはさらにアルファ、ベータ、ガンマ、デルタコロナウイルスの4つのサブタイプに分けられます。

犬で軽度の下痢を起こす犬コロナウイルスはアルファコロナウイルス属です。
一方、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はベータコロナウイルス属です。

このことからも、犬のコロナウイルス性腸炎は今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の発生とは関係がありません。

犬 コロナウイルス
犬のコロナウイルス性腸炎 まとめ犬のコロナウイルス性腸炎とは? 犬のコロナウイルス性腸炎とは、犬コロナウイルス(CCV)によって起こるウイルス性の感染症です。...
獣医
獣医
しつこくなりますが、犬のコロナウイルス性腸炎のワクチンには新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対しての予防効果がありません。

そもそも、コロナウイルス性腸炎自体もワクチン接種を推奨されているものではありません。

猫のコロナウイルス感染症

猫に病気を引き起こすコロナウイルスには
①猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)
②猫腸コロナウイルス(FECV)
の2種類があります。

猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、猫腸コロナウイルス(FECV)はアルファコロナウイルス属です。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はベータコロナウイルス属に分類されるので、
猫のコロナウイルス感染症は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症の発生とは関係ありません。

猫腸コロナウイルス(FECV)感染症は比較的軽度の腸炎を起こすのみなのに対して、猫伝染性腹膜炎(FIP)は発症した猫のほとんどが死亡する致死性の高い病気です。

猫 コロナ FIP
猫のコロナウイルス感染症 猫伝染性腹膜炎(FIP)と猫腸ウイルス(FECV)感染症猫のコロナウイルス感染症(猫伝染性腹膜炎【FIP】、猫腸コロナ感染症)について獣医師が解説。猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因・症状・診断・治療・予防について。...

動物の感染を疑う事例

香港の2頭の犬

  • 2020年2月28日
    香港で新型コロナウイルス感染者の飼い犬(17歳ポメラニアン)から同ウイルスの弱陽性反応が出たと発表された。
  • 2020年3月4日
    その後の追加検査などで『新型コロナウイルスの低レベルの感染があった』と発表された。
  • その後、新型コロナと無関係に死亡。隔離のストレス?や持病の悪化?などと考えらている。
  • 香港では別の感染患者の飼い犬からも新型コロナウイルス陽性を確認しており、後に陰性となった。

動物の感染を疑う事例② ベルギーの猫

  • 2020年3月27日
    ベルギーで飼い主が新型コロナ発病後に飼い猫も調子を崩して、下痢、嘔吐、呼吸障害が見られた。便からの新型コロナウイルス検出したと発表された。
獣医
獣医
この猫に関しては〝症状が新型コロナに関連したものなのか?〟〝何の検査で新型コロナ陽性としたのか?〟など情報が確かでないことが多いです。。

動物の感染を疑う事例 その他

  • 2020年3月31日
    香港で飼い猫の新型コロナウイルス陽性反応を認めた。
  • 2020年4月5日
    ニューヨークのブロンクス動物園でトラに新型コロナウイルス陽性反応を認めた。このトラは飼育員から感染した可能性が高いとのこと。

その他の報告

各家庭での対応について

これまでのところ、新型コロナウイルスがペットから人に感染した事例は報告されていません。

ヒトから動物への感染を疑う例も数例のため、飼い主さんが新型コロナに感染していない限りは、ご自身の飼い犬、飼い猫の感染を過剰に心配する必要はないと思います。

動物との過度な接触を控え、普段から動物に接触する前後に手洗いや手指用アルコールでの消毒を心がけるようにしてください。

現時点での感染サイクルの主体はヒトからヒトです。
飼い主さんご自身が新型コロナに感染しないように注意しましょう。