肝胆道系・膵外分泌の病気

猫の肝リピドーシス まとめ

猫の肝リピドーシス
飼主さん
飼主さん
猫が数日前からご飯を食べなくなりました。
何となく皮膚が黄色く見えます。
おしっこもいつもより濃い黄色です。
獣医
獣医
猫が食欲不振に陥った時に心配な病気として『肝リピドーシス』という病気があります。

肝臓の細胞内に急激に脂肪が蓄積することによって起こる病気で、重症の場合には死亡してしまうこともあります。

症状として黄疸が出てくることが多いです。

猫の肝リピドーシスとは?

猫の肝リピドーシスは、肝臓に過剰な脂肪が蓄積することで肝機能障害を引き起こす病気です。

何らかの基礎疾患(おおもとの病気)が原因で食欲不振に陥ると、体内に貯蔵していた脂肪の分解が起こり、肝細胞内に急激に脂肪が蓄積することにより発症すると考えられています。

〝脂肪肝〟のようなイメージですが、人間の脂肪肝とはメカニズムが異なります。

猫の肝リピドーシスの原因は?

  • 食欲不振
    👉原因は様々
肝リピドーシスの原因となりやすい病気
  • 炎症性腸疾患(IBD)
  • 胆管炎
  • 膵炎
  • (ストレスによる食欲不振)

猫の肝リピドーシスの発症は?

  • 品種、雌雄問わず発生
  • 中年齢に多い
  • 肥満猫に多い

猫の肝リピドーシスの症状は?

  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 倦怠感
  • 黄疸
  • 無気力
  • 流涎
  • 運動失調

猫の肝リピドーシスの診断は?

  • 血液検査
    👉肝酵素の上昇(特にALPGGT
    👉T-billの上昇(黄疸の指標)
  • エコー検査
    👉肝臓のエコー源性の上昇(白く見える)
    👉肝臓の腫大
  • レントゲン検査
    👉肝腫大
  • 細針吸引(FNA)検査
    👉ほとんどの肝細胞に空胞変性
  • 肝生検
    👉確定診断
    👉全身麻酔が必要
獣医
獣医
肝リピドーシスを疑う時には全身状態が悪いときが多いので、全身麻酔をして肝生検をすることは現実的ではありません。

病状の経過と肝生検以外の検査結果から〝肝リピドーシス〟と仮診断して治療を進めていくことがほとんどです。

猫の肝リピドーシスの治療は?

  • 栄養管理
    👉『十分な栄養(蛋白)を与え続けること』
    👉長期的な管理が必要
    👉経鼻チューブ、経食道チューブ、胃瘻チューブなどの設置
  • 基礎疾患(おおもとの病気)の治療

猫の肝リピドーシスの治療の見通し(予後)は?

肝リピドーシスは命に関わる重大な病気です。
治療をしないと、ほとんどの場合に亡くなってしまいます。

治療を開始しても、特に治療初期に亡くなってしまう場合も少なくありません。ただし、治療初期の最も重篤な状態を乗り切れれば回復が可能な病気です。

肝リピドーシスの治療は『十分な栄養を与え続ける』ことに尽きます。
治療の概念は非常にシンプルですが、長期的な管理が必要であり、時に治療に数ヶ月を要することもあります。

入院治療で、ある程度状態が安定すれば、自宅でチューブ(食道チューブや胃瘻チューブなど)を介した給餌を行うことになります。

猫が食欲不振に陥った場合には、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。