猫の尿道閉塞 まとめ

猫の尿道閉塞

猫の尿道閉塞では、突然排尿障害を起こします。
対処が遅れると腎不全となり、命に関わることもあります。

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猫の尿道閉塞とは?

何らかの原因で尿道が塞がり、尿が出なかったり、出にくくなる状態です。結石や栓子が詰まって閉塞することが多いです。日々の診察の中でも、比較的遭遇する機会も多い緊急疾患の1つです。

猫の尿道閉塞の原因は?

  • 栓子の閉塞
     ・壊死組織・尿路上皮・ムコ蛋白・凝結塊炎症産物・結晶 など
  • 結石の閉塞
     ・ストラバイト結石
     ・シュウ酸カルシウム など
  • 腫瘍
尿道閉塞を起こしやすい基礎疾患
  • 特発性膀胱炎
  • 尿石症
  • 尿路感染症

猫の尿道閉塞の発症は?

  • オス猫に多い
    ・オスの尿道は詰まりやすい形状(細い・カーブ)
  • 寒い時期(冬)に多い
    ・飲水量・運動量の低下

猫の尿道閉塞の症状は?

  • 頻回の排尿動作
    👉何回もトイレに行く
    👉排尿できない
  • トイレ以外の場所で排尿する
  • 血尿
  • 排尿痛
進行して尿毒症を起こした場合
  • 意識レベルの低下
  • 痙攣発作
  • 不整脈など

猫の尿道閉塞の診断(検査)は?

  • 触診
    ・膀胱の大きさ
  • 視診
    ・ペニス・その周囲
  • 血液検査(尿道閉塞に伴う腎不全のチェック)
    ・CBC
    BUN
    Cre
    IP
    Ca
    ・電解質(Na,K,Cl
    ・血液ガス測定
  • エコー検査
    ・膀胱のチェック
    ・腎臓のチェック
    ・腹水のチェック
  • レントゲン検査
  • 尿検査
    ・結石や結晶の種類
    ・細菌感染の有無

猫の尿道閉塞の治療は?

  • 尿道閉塞の解除
    ・場合によっては鎮静や麻酔が必要
    ・ペニスのマッサージ
    ・カテーテル挿入
  • 尿路結石の治療
    ・食餌療法
    ・抗生剤内服
  • 点滴治療
  • 外科手術
    ・尿道を短くする手術(会陰尿道瘻設置術)

猫の尿道閉塞の治療のみとおし(予後)は?

早期に尿道閉塞を解除できた場合には、予後は良好です。ただし、尿道閉塞を引き起こす基礎疾患を適切に治療しないと再発してしまうリスクがあります。尿道閉塞は進行して尿毒症を起こすと命に関わります。寒くなる時期には飲水量や運動量の低下から尿道閉塞を引き起こしやすいため注意が必要です。普段の診療でも、『オシッコ出ない』、『オス猫』、『冬』のキーワードが揃うと、まずは尿道閉塞を疑います。排尿が出来なくなってからは、少しでも早期の治療が必要です。普段からトイレの回数や排泄の様子をよく観察しておきましょう。

 

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