犬猫の輸血のリスク 〝輸血副反応〟

犬猫の輸血 副作用

輸血は治療効果が大きい反面、様々な副反応が心配です。
輸血する前に血液適合試験を行ったり、輸血中も全身状態をこまめにモニターしながら輸血のリスクを最小限に抑えないといけません。

『副反応』と『副作用』はほとんど同じ意味です。
医薬品などによる『副作用』と区別するために、ワクチンや輸血では『副反応』という言葉を使います。

目次

犬猫の輸血のリスク 輸血副反応とは?

輸血副反応には、不適合な血液に対する反応として起こる〝免疫学的副反応〟と、他の原因による〝非免疫学的副反応〟の2つがあります。

猫の免疫学的副反応
  • 特に赤血球型(血液型)不適合による溶血性副反応が重要
  • 特にB型猫にA型の血液を輸血した場合は深刻
  • 発熱、嘔吐、嗜眠、などの症状
  • 適切な処置が出来なければ死亡することもある
犬の免疫学的副反応
  • 特に赤血球型(血液型)不適合による溶血性副反応が重要
  • 犬では過去に不適合輸血を受けたことがあり、再度同じ型の輸血を受けると起こる
  • 不安、流涎、失禁、嘔吐、ショック、時に急死などの症状
  • 初めての輸血ではほとんど起こらない
  • 急性溶血反応は輸血を開始してから遅くても24時間以内に発症
犬猫の非免疫学的副反応
  • 過剰輸血による循環血液量増加
  • 感染症の移行
  • 汚染血液による敗血症
  • 肺血栓塞栓症

犬猫の輸血副反応 対処法

  • 輸血の中止
  • 症状に応じた対応
  • 副腎皮質ホルモン剤や抗アレルギー剤など

輸血中の様子の変化、体温、呼吸数をこまめにモニターして、副反応の出始めを見逃さないことが大切です。

犬猫の輸血副反応 予防法

  • 特に注意が必要な溶血性副反応は血液型判定と交差適合試験(クロスマッチ)でリスクを減らす
     ・犬では赤血球抗原DEA1.1の有無
     ・A抗原、B抗原の有無
     ・交差適合試験(クロスマッチ)で主反応、副反応の有無
  • ドナー(供血犬猫)の選定
     ・感染症がない
  • 輸血の手技
     ・スムーズな採血で溶血や凝固を起こさない
     ・細菌汚染や血液の劣化に注意

どんなに注意しても、100%予防できるわけではありません。

  • SA Medicine Vol.16 No.5 2014
    『輸血・輸血副反応のインフォームドコンセントのために』
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